日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
エミシズマブが有効であったインヒビター保有重症血友病Aの男児
増田 早織本多 隆也山岡 正慶加藤 陽子天野 景裕秋山 政晴
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2020 年 57 巻 5 号 p. 399-402

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抄録

エミシズマブは活性型第IX因子と第X因子に結合することで活性型第VIII因子に代わり止血効果を発揮する遺伝子組換えヒト化二重特異性モノクローナル抗体(バイスペシフィック抗体)である.今回,エミシズマブを使用したインヒビター保有血友病Aの6歳男児を報告する.症例は9カ月時に重症血友病Aと診断され,遺伝子組換え血液凝固第VIII因子製剤(リコンビナント第VIII因子製剤,rFVIII製剤)の定期補充を開始した.1歳7カ月時に,臀部打撲による巨大血腫発症を契機にインヒビター陽性が判明した.バイパス止血療法の活性型プロトロンビン複合体製剤治療とインヒビターに対する免疫寛容療法を併用した.インヒビターは消失せず,5歳4カ月時からエミシズマブ治療を開始し,2週間毎の投与を行っている.エミシズマブによりインヒビター存在下でも良好な出血予防効果を得ているとともに,注射の負担の軽減と生活の質の向上に繋がっている.

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© 2020 日本小児血液・がん学会
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