日本小児血液・がん学会雑誌
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シンポジウム9: 3年計画: 「ゲノム医療の最近の動向: 小児・AYAがんに向けて」
ゲノム医療の最近の動向:小児・AYAがん
安藤 弥生
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2021 年 58 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

厚生労働省においては,2018年に閣議決定された第3期がん対策推進基本計画に従って,がんゲノム医療を推進している.がんゲノム医療を必要とする患者が,全国どこにいても,がんゲノム医療を受けられる体制を構築するため,がんゲノム医療中核拠点病院等を指定する等,体制の整備に取り組んできた.2019年6月には,がん遺伝子パネル検査2品目が保険適用され,小児・AYAがんに対しても,がん遺伝子パネル検査が保険診療下で行えることになった.がん遺伝子パネル検査においては,ゲノム情報と臨床情報を,患者さんの同意の下,国立がん研究センター内に設置されたがんゲノム情報管理センターに収集し,ゲノム解析結果の解釈・臨床的意義づけを行うと共に,登録された情報はアカデミアや製薬企業に二次利活用される予定になっている.さらに,小児がんに対する施策として,小児がん拠点病院を指定し,小児がん診療の一定程度の集約化と小児がん拠点病院を中心としたネットワークによる診療体制の構築を進めてきた.これらの医療機関にはがんゲノム医療中核拠点病院等に指定され,がん遺伝子パネル検査を自施設で完結できる医療機関が含まれており,小児がん患者さんにおいても,これらの医療機関を中心に,ゲノム医療を受けることができる.さらに,全ゲノム解析等を推進するため,2019年内に全ゲノム解析等に関する実行計画を策定する予定であり,現在検討を進めている.

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