日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
Print ISSN : 2187-011X
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原著
小児急性骨髄性白血病(AML)経験者の就学・就労促進に関わる要因と支援
宮下 佳代子小林 京子山口(中上) 悦子足立 壯一長谷川 大一郎岩本 彰太郎小林 良二照井 君典今村 俊彦嶋田 明金井 理恵早川 晶力石 健田村 真一佐藤 篤堀部 敬三大杉 夕子
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2021 年 58 巻 1 号 p. 12-18

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抄録

目的:AML経験者における就学・就労促進に関与する要因を明らかにするため以下の研究を行った.方法:小児期にANLL91およびAML99プロトコルで治療し,現在JACLS参加施設で経過観察中の15歳以上のAML経験者10名に半構造化面接を実施し,面接内容を質的記述的に分析した.結果:6のカテゴリーと23のサブカテゴリーが抽出された.AML経験者は,【慎重な歩み】や【自分のなかで調整・納得】をするなかで【使命感の芽生え】を得ていた.また医療者や友人,教諭などの【伴走者の存在】と【道標の存在】となるきょうだいに自身の進路を照らし合わせながら確認をしていた.就学や就労の基盤には【復学・進学意欲の維持】があった.考察:医師・看護師等医療関係者は,小児がん経験者と共に身体機能をアセスメントし,ソーシャルワーカーやがん支援相談員などの支援担当者へ橋渡しをする必要があり,就学・就労の基盤となる復学・進学を支えるため,教育機関へ継続的な情報やサポートを提供することが重要であることが示唆された.

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© 2021 日本小児血液・がん学会
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