日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
白血球173万/μLで発症し交換輸血により救命した乳児急性リンパ性白血病の一例
三宅 亮輔大園 秀一大石 早織中川 慎一郎満尾 美穂山下 裕史朗
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2021 年 58 巻 1 号 p. 35-39

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抄録

生後40日女児,主訴は哺乳力低下,腹部膨満.初診時WBC173万/μL(芽球99%),Leukocrit 43%と著明な白血球増多を認め,KMT2遺伝子再構成の急性リンパ性白血病と診断.白血球増多に伴うLeukostasisで危急的状況にあったと判断し,搬入直後より呼吸障害への人工呼吸器管理を開始.交換輸血(Exchange Transfusion: ET)を入院21時間後に施行し,2病日よりプレドニゾロンを先行投与した.処置中は高リン血症(7 mg/dL)と低カルシウム血症(補正値6.9 mg/dL)を認めた.入院9日目にWBC3,100/μLまで低下し,同日多剤併用化学療法を開始.生後6か月で臍帯血移植を施行し,以後1年間寛解を維持している.移植前に右硬膜下血腫が判明し,1歳6か月時に発達指数69と発達遅延を認めたが徐々に追いつきつつある.ETは白血球増多に伴うleukostasisの治療法であり,本症例では速やかな化学療法開始に有効だったと考えた.一方発症時期は特定できなかったものの,硬膜下血腫や発達の遅れも認めたため,本症の予防や長期フォローに対する重要性が示唆された.

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© 2021 日本小児血液・がん学会
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