日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
パゾパニブが有効性を示した多発肺転移を有する難治性Ewing肉腫
横山 亮平山田 愛木下 真理子澤 大介齋藤 祐介上村 幸代盛武 浩
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2021 年 58 巻 1 号 p. 40-44

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抄録

Ewing肉腫(ES)は骨または軟部組織から発生する悪性腫瘍で,小児や若年成人に好発する.限局例では70%の無病生存が期待できるが,転移例や標準的化学療法抵抗例の予後は極めて不良である.症例は19歳男性.右腸骨腫瘍の生検組織よりEWSR1-FLI1融合遺伝子を検出し,ESと診断した.胸部CTで多発肺転移を認め,ビンクリスチン,ドキソルビシン,シクロフォスファミド,イフォスファミド,エトポシドを用いたVDC/IE療法,原発部への放射線照射,ブスルファンとメルファランによる自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法,さらに複数の化学療法を施行するも非寛解であった.その後,パゾパニブ内服を開始し縮小効果を認め,7か月間の延命が可能であった.パゾパニブは経口薬のため在宅管理が可能で,さらに近年では長期生存例の報告も散見され,難治性ESの治療において考慮すべき薬剤と思われる.

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© 2021 日本小児血液・がん学会
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