日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
侵襲性肺アスペルギルス症による喀血に対して緊急動脈塞栓術により救命しえた難治性急性骨髄性白血病の1例
多加喜 望大曽根 眞也今村 俊彦西本 雅和廣田 達哉下村 雅律井上 匡美田中 智子古川 泰三細井 創
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2021 年 58 巻 5 号 p. 446-449

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抄録

FUS-ERG融合遺伝子陽性の急性骨髄性白血病を発症した5歳の女児.治療抵抗性で2か月間寛解を達成できず,無顆粒球症が続いた.その後,咳,発熱,背部痛が出現し,胸部CT検査で左肺膿瘍があり,血清アスペルギルスガラクトマンナン抗原(GM抗原)が陽性で,侵襲性肺アスペルギルス症(IPA)と診断された.Voriconazole(VRCZ)とMicafungin(MCFG)を投与したところ症状は徐々に改善したが,治療開始16日目に大量喀血し,造影CTで左肋間動脈に仮性動脈瘤を認めた.緊急の経皮的動脈塞栓術で止血に成功し,4日後に左肺上区域切除術を行った.VRCZを継続の上で2か月後に同種造血細胞移植を行ったが,移植後12か月までIPAは再発せず経過した.動脈塞栓術と肺切除術を組み合わせた集学的治療は,大量喀血を来したIPAに有効であった.

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© 2021 日本小児血液・がん学会
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