日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
治療中に骨転移巣のフレア現象を認めた腎明細胞肉腫の一例
浮田 明見中原 康雄大倉 隆宏石橋 脩一橋本 晋太朗高橋 雄介丸中 三菜子
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2022 年 59 巻 2 号 p. 192-196

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抄録

3歳男児,腹痛で受診し,左腎腫瘍を指摘された.CTで左腎由来の16㎝大の腫瘤性病変と両側肺転移を認め,生検で腎明細胞肉腫Stage4と診断した.初診時に骨シンチグラフィで異常集積はなかった.JWiTSプロトコールRegimenⅠに準拠し術前化学療法を施行し,原発巣と肺転移巣の縮小を確認し,開腹腫瘍摘出術を施行した.術後放射線療法とRegimen Iを継続し,肺転移巣の縮小を認めたが,CTで新たに椎体・腸骨・大腿骨に骨硬化像を認めた.骨シンチグラフィでも椎体に異常集積を認めた.新規骨転移の出現が疑われたが,肺転移巣は縮小しており,フレア現象と考え化学療法を継続した.7週間後,骨シンチグラフィの椎体への異常集積は改善し,フレア現象であったと判断した.骨転移を伴う癌の治療中に治療が奏功すると,骨シンチグラフィで一過性に集積亢進を示すことがありフレア現象と呼ぶ.新規骨病変を認めた際には,他部位の治療反応性,経過と合わせて判断することが肝要である.

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© 2022 日本小児血液・がん学会
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