2022 年 59 巻 3 号 p. 229-238
小児及び思春期・若年成人世代の代表的な悪性骨腫瘍であるユーイング肉腫ファミリー腫瘍(ESFT)及び骨肉腫の治療成績は集学的治療の進歩により飛躍的に向上したが,治療中に増悪した症例や治療後に再発した症例などの予後は依然として不良である.
再発・増悪ESFT症例に対する最近開発された様々なサルベージ化学療法の奏功率は50%前後である.一方,分子標的薬の奏功率は約10–20%で,その治療効果は一時的な場合が多い.原発巣や転移病変に対する局所治療(手術や放射線治療)は生存率向上に寄与する可能性が示唆されている.一方,造血細胞移植の有効性については賛否両論である.
再発・増悪骨肉腫症例ではサルベージ化学療法や分子標的薬の奏功率が低く,長期生存を得るには再発・増悪病変に対する積極的な局所治療の併用が必須である.造血細胞移植の有効性については否定的な報告が多い.
いずれの疾患も分子標的薬単剤で治療をした場合は早期に耐性を獲得することが多く,長期生存する症例はごく少数例に限られている.また,初回治療中に増悪を来した症例の予後は極めて不良である.今後は再発・増悪骨・軟部腫瘍の治療成績の改善に向けて,分子標的薬の至適使用法の検討やキメラ抗原受容体T細胞療法など免疫細胞療法の開発に期待したい.