2022 年 59 巻 3 号 p. 314-318
症例は5歳女児,3週間前からの顔色不良を主訴に受診した.重度の貧血(Hb 5.5 g/dL)を認め,網状赤血球の高値,T.BilとLDHの上昇,ハプトグロビンの低下,直接クームス試験が陽性で自己免疫性溶血性貧血(AIHA)と診断した.下腹部に腫瘤を触知し,骨盤部CTで仙骨前面に嚢胞性腫瘤を認めた.プレドニゾロン(PSL)を開始して貧血は改善し,PSL開始15日目に嚢胞性腫瘤の診断と嚢胞性腫瘍に続発したAIHAの可能性を考慮して,腫瘍摘出術を行った.成熟嚢胞性奇形腫の診断で,嚢胞内容液の間接クームス試験は陽性だった.腫瘍摘出後からPSLを漸減したが,直接クームス試験は陰性化し,PSL中止後も貧血の再燃はない.小児のAIHAでは卵巣以外の奇形腫合併も念頭に置く必要がある.奇形腫に合併したAIHAは腫瘍摘出術が有効だが,ステロイドの先行投与で周術期の輸血を回避できる可能性が示唆された.