日本小児血液・がん学会雑誌
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教育セッション1:肝腫瘍
小児肝腫瘍:さまざまな肝腫瘍の臨床像と,一筋縄ではいかない肝芽腫の治療
北河 徳彦
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2022 年 59 巻 5 号 p. 381-386

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抄録

小児肝腫瘍の代表的なものは肝芽腫であるが,日常臨床ではそれ以外の腫瘍にも遭遇する.肝芽腫自体が国内で年間40–60例と少ないが,その他の腫瘍に遭遇することはさらにまれである.悪性では肝芽腫,肝細胞癌に加え,Hepatocellular neoplasm, NOSが最近年長児で話題になる.他に肝未分化胎児性肉腫,悪性ラブドイド腫瘍等がまれに遭遇する.良性ではFNH,間葉性過誤腫,血管腫等が挙げられる.

肝腫瘍の中でも特に肝芽腫では,手術による切除が最重要であるとされてきた.近年は肝移植の普及により以前では手術不能とされた症例でも腫瘍の全摘出ができるようになった.しかし肝移植では免疫抑制剤の使用,健康なドナーへの侵襲などの問題から肝切除が第1選択であることは変わらない.PRETEXT IV症例,血管近接症例に対しても,工夫により切除が可能となることがある.また全摘出が重要なことは転移巣でも同様である.代表的な転移先である肺について,ICG蛍光法を使用すると微小な転移巣まで摘出可能である.

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