日本小児血液・がん学会雑誌
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原著
小児がん患者に対する検査・処置時の鎮静および疼痛管理の現状と課題
―JCCG施設調査より 第3報―
新小田 雄一加藤 陽子森 尚子大曽根 眞也嘉数 真理子佐野 弘純篠田 邦大矢野 道広石田 裕二斎藤 雄弥澤田 明久豊田 秀実坂口 公祥足立 壯一福島 啓太郎
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キーワード: 小児がん, 鎮静・鎮痛
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2022 年 59 巻 5 号 p. 400-406

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抄録

背景:本邦での小児がん患者に対する検査・処置等の鎮静・疼痛管理の現状は十分把握されていない.

方法:日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)支持療法委員会にて,2015年10月から翌年3月にかけて,参加155施設を対象に,施設情報や検査・処置等の鎮静・疼痛管理に関してweb調査を施行した.

結果:89施設(57%)より有効回答が得られた.チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)やホスピタル・プレイ・スペシャリスト(HPS)等が在籍している施設は27%(24/89施設)と少なかった.プレパレーションを基本的に行っている施設は36%(32/89施設)だった.鎮静・疼痛管理で使われる薬剤は,心エコーとCTでトリクロホス経口,MRIと放射線治療でチオペンタールやチアミラール静注,髄液検査や骨髄検査でミダゾラムとケタミン静注,中心静脈カテーテル(CVC)挿入では手術室で吸入麻酔薬との回答が多かった.CVC挿入を除く鎮静・疼痛管理は約9割で主治医が行っており概ね安全にできているが,3例(3/89施設:3%)の重篤な有害事象も報告された.

考案:検査・処置に対して薬物による鎮静・疼痛管理が積極的に行われていたが,主治医に負担が強いられ,プレパレーションは不十分だった.よりよい鎮静・疼痛管理のため,小児がん診療に携わるCLSやHPSを含めたスタッフの充実や他診療科との連携が課題である.

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© 2022 日本小児血液・がん学会
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