日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
NEMO異常症に対する骨髄移植後の二次性生着不全に対する移植後シクロホスファミド法を用いたHLA半合致サルベージ骨髄移植
森 有弥香山下 基友政 弾友田 昂宏岡野 翼満生 紀子磯田 健志神谷 尚宏高木 正稔今井 耕輔金兼 弘和森尾 友宏
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2022 年 59 巻 5 号 p. 420-425

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抄録

造血細胞移植において,生着不全は最も深刻な合併症のひとつであり,再移植が唯一の治療法である.近年,移植後大量シクロホスファミド(post-transplant cyclophosphamide, PTCy)法を用いたHLA半合致移植が,造血器腫瘍に対する造血細胞移植を中心に良好な成績を収めていることが報告されているが,先天性免疫異常症における経験は限られている.今回,NEMO異常症に対するHLA不一致非血縁者間骨髄移植後に二次性生着不全をきたした患児に対して,PTCy法を用いたHLA半合致移植を行い,良好な経過が得られたので報告する.患児は乳児期に慢性下痢と重症ニューモシスチス肺炎をきたし上記と診断した.1歳時にフルダラビンとブスルファンによる強度減弱前処置ののちHLA一座不一致非血縁者間骨髄移植を施行され,移植後17日目に生着した.移植10か月後に二次性生着不全をきたし,血縁者間HLA半合致移植を行った.前処置はフルダラビン150 mg/m2,メルファラン70 mg/m2,抗胸腺免疫グロブリン(ATG)2.5 mg/kg,全身放射線放射2 Gyを用い,GVHD予防としてPTCy法,タクロリムス,ミコフェノール酸モフェチルを使用した.移植後12日目に生着し,GVHDなく経過した.先天性免疫異常症におけるPTCy法を用いたHLA半合致移植の安全性と有効性について考察する.

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© 2022 日本小児血液・がん学会
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