日本小児血液・がん学会雑誌
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原著
日本人小児がん患児38例におけるアントラサイクリン心筋障害抑制のためのデクスラゾキサン併用治療
清谷 知賀子山田 悠司寺島 慶太塩田 曜子牛腸 義宏井口 晶裕坂口 大俊米田 光宏富澤 大輔松本 公一
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2023 年 60 巻 1 号 p. 15-19

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抄録

背景:デクスラゾキサン(DRZ)はアントラサイクリン(ATC)による心筋障害を抑制すると報告されている.我々は高用量ATC治療を要する日本人小児がん患児に,施設倫理審査の承認を得てDRZ併用治療を行い短中期的な安全性を評価した.方法:DRZはATC治療直前に10倍量を15分で投与し,他の治療は通常通り行った.投与に先立ち患者家族の文書同意を取得した.結果:2015年2月から2022年1月までに,小児がん患児38例(男20例,女18例)にDRZ併用治療を実施した.疾患は,脳腫瘍9例,固形腫瘍25例,血液腫瘍4例で,DRZ初回投与時の年齢中央値は4歳2か月だった.造血細胞移植は11例(同種3例,自家8例)が,生体肝移植は6例が受けていた.DRZ投与開始時のドキソルビシン(DOX)換算累積投与量中央値は260 mg/m2で,最終投与時の累積投与量中央値は375 mg/m2だった.全員で治療急性期の有害事象はなく,骨髄抑制や臓器障害のレベルも,通常その治療で想定される範囲内だった.観察期間中央値は657日で,心不全や二次がんの発生はなかった.原疾患による死亡が4例あった.長期的な心保護と有害事象の観察には長期フォローアップが必要である.結論:日本人小児がん患児においてDRZ併用治療は急性期の有害事象なく安全に使用できうる.

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© 2023 日本小児血液・がん学会
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