日本小児血液・がん学会雑誌
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原著
縦隔腫瘍組織採取時の全身麻酔・鎮静のリスクの検討と局所麻酔下腫瘍針生検の試み
臼井 秀仁北河 徳彦中村 信人望月 響子八木 勇磨川見 明央奥村 一慶浅野 史雄田中 水緒田中 祐吉野澤 久美子岩﨑 史記栁町 昌克後藤 裕明新開 真人
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2023 年 60 巻 1 号 p. 7-14

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抄録

【目的】小児縦隔腫瘍では,診断のために全身麻酔・鎮静下における組織採取を考慮する事が多い.しかし縦隔腫瘍患者の全身麻酔では気道狭窄等から呼吸循環不全を生じる危険性がある.縦隔腫瘍の組織採取における全身麻酔の危険性を検証し,局所麻酔下組織採取の選択肢として縦隔腫瘍針生検の有効性と安全性を検証した.

【対象】2012年~2021年に当院で縦隔腫瘍と診断し,組織採取を行った症例を対象とした.末梢血および骨髄検査で診断がついた症例は除外した.

【方法】診療録から年齢,症状,画像所見,麻酔方法,組織採取方法,診断,合併症を後方視的に検討した.

【結果】症例は21例.組織採取時年齢中央値6(5ヶ月~15)才.気道症状は13例で認め,2例で起坐呼吸を認めた.上大静脈症候群3例,心嚢液貯留3例であった.Mediastinal mass ratio (MMR) は中央値48,% cross sectional area (CSA) は中央値75.7,Blankリスク分類で高リスク8例,中間リスク9例,低リスク4例.診断はリンパ腫11例,神経芽腫6例,胚細胞腫瘍2例,他2例.全身麻酔下組織採取は13例で,全例で診断に至るも1例で合併症を生じた.局所麻酔下組織採取は8例で,全例で診断に至り,合併症は無かった.

【考察】縦隔腫瘍の全身麻酔高リスク例では局所麻酔下での処置が望ましい.縦隔腫瘍針生検は安全かつ有効な選択肢になりうる.

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© 2023 日本小児血液・がん学会
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