日本小児血液・がん学会雑誌
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シンポジウム8:全脳全脊髄照射update
全脳全脊髄照射の現状―Japan Children’s Cancer Group脳腫瘍委員会のアンケート調査をもとに
副島 俊典前林 勝也山崎 夏維隈部 俊宏
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2023 年 60 巻 5 号 p. 332-336

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抄録

近年全脳全脊髄照射に強度変調放射線治療や陽子線治療が応用されることが多くなってきており,全脳全脊髄照射のターゲットを正確に検討することが必要になってきている.そこで今回各施設の治療計画の現状把握のため,全脳全脊髄照射に関するアンケート調査を行った.

脳腫瘍委員会参加100施設にメールでアンケートの協力を依頼し,54施設(54%)から回答を得た.うちX線治療施設が46施設,陽子線施設が8施設であった.

3年間の症例数が,3例以下,9例以下,18例以下,それ以上の施設はそれぞれX線治療施設24施設(52%),10施設(22%),7施設(13%),2施設(4%)で陽子線治療施設では1施設(13%),2施設(25%),5施設(63%),1施設(13%)であった.治療方法としてはX線治療施設のうち,強度変調放射線治療で治療する施設は8施設で,そのうち6施設はトモセラピーでの治療であった.脳脊髄の臨床的標的体積設定について陽子線治療施設に回答をいただいたところ視神経などの脳神経を含むと答えた施設もあったが,少数であった.

今後強度変調放射線治療や陽子線治療などの高精度治療が普及する可能性があり,細かな照射範囲の設定が必要になると考えられた.

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