2023 年 60 巻 5 号 p. 377-380
膵Solid-pseudopapillary neoplasm(SPN)は若年女性に多くみられる比較的稀な低悪性度腫瘍であり,外科的切除が治療の第一選択である.今回我々は先天性胆道拡張症術後フォロー中に偶発的に発見された膵SPNの1例を経験した.無症状であること,膵SPNとしては稀な男児であることから本症も疑いながらも経過観察としたところ,2年後に腫瘍の増大を認め核出術を行った.幸い他臓器浸潤,転移は認めなかったが,教訓に富む症例であった.他の膵腫瘍との鑑別には造影超音波検査の併用が有用であった.