日本小児血液・がん学会雑誌
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シンポジウム6:小児固形腫瘍における基礎・トランスレーショナル研究の現状と展望
肝芽腫における基礎・トランスレーショナル研究の現状と展望
本多 昌平近藤 享史河原 仁守荒 桃子奥村 一慶河北 一誠武冨 紹信
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2024 年 61 巻 1 号 p. 1-11

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抄録

【背景と目的】本研究では,肝芽腫においてゲノム変異が稀であることから,エピゲノム変異がその発生,進展に重要な役割を果たしていると考え,特にDNAメチル化異常に着目し,臨床病理学的予後因子を統合したCHIC-HSと組み合わせて,より有用な予後予測モデルを作成することを目的とした.【対象と方法】1999年から2012年までにJPLTの関連施設でJPLT-2プロトコールに基づき治療を受け,肝切除を施行された肝芽腫患者132例を対象とし,バイサルファイトパイロシークエンシング法を用い,RASSF1APARP6OCIAD2MST1RGPR180の5つの遺伝子のDNAメチル化率の定量的評価を行った.【結果】4遺伝子(RASSF1APARP6OCIAD2MST1R)のメチル化群でOS,EFS共に有意に不良であった.多変量Cox回帰分析から,高メチル化遺伝子を2個以上持つことは,OS,EFSに関する独立した予後因子であった.2個以上高メチル遺伝子を持つ群をより上位のリスク郡に層別化する新規リスク分類(methylation-based CHIC-HS; mCHIC-HS)を作成したところ,各リスク群においてCHIC-HSを適正化し得た.【結論】CHIC-HSにDNAメチル化解析に基づく分子学的予後因子を統合することで,より適切な予後層別化が可能となり,リスクに応じた治療選択が実現し得る.今後,このモデルの有用性を前向きに検討していきたい.

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