2024 年 61 巻 1 号 p. 27-30
がん研究の進歩により多くのドライバーがん遺伝子が同定され,さらに,同じがん遺伝子が臓器を越えて複数のがん種に存在することが明らかになった.また,次世代シークエンサーの登場によって数多くのドライバー遺伝子変異を一度に解析することが可能になり,これらの情報に基づいて治療介入の最適化を行う「がんゲノム医療」が現実のものとなった.我が国においても2019年6月から2種類のがん遺伝子パネル検査が保険収載され,国民皆保険下でがんゲノム医療が開始されたところである.2024年1月現在で計260カ所の医療施設でがんゲノム医療が行われており,その数は現在も増加し続けている.またがんゲノム医療を受ける患者のゲノム情報と臨床情報を集約・利活用するデータセンターとして「がんゲノム情報管理センター(Center for Cancer Genomics and Advanced Therapeutics: C-CAT)」も設置された.2023年11月までにC-CATに集約されたゲノム情報・臨床情報は6.6万件を超え,適合する臨床試験などをリストした患者ごとのC-CAT調査結果も臨床現場に返却されている.さらに2021年10月から,C-CATに集約されるデータを一般のアカデミア・企業で利活用するための「利活用検索ポータル」も稼働し,既に製薬会社を含む75課題がデータ利用を承認されている.こうして世界的にも先進的ながんゲノム医療が日本で構築され,またこれらのデータを用いた小児がん研究も既に始まっている.