日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
卵子枯渇に至った両側卵巣再発成熟奇形腫の1例
横井 暁子長谷川 大一郎小阪 嘉之
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2024 年 61 巻 1 号 p. 90-92

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抄録

卵巣成熟奇形腫は,小児期の卵巣腫瘍の中で最も頻度が高い良性腫瘍である.同側の再発や異時性対側発症が確認され,妊孕性温存を鑑みて腫瘍核出術が推奨される.本報告の女児は,2歳2ヶ月時,発熱のため近医受診,下腹部腫瘍を指摘されて当院紹介となった.腫瘍マーカーはいずれも陰性で,造影CTで径8 cmの石灰化を含む嚢胞性腫瘍を認め,卵巣成熟奇形腫の疑いで開腹,左卵巣腫瘍核出術を施行した.病理診断も成熟奇形腫であった.9歳1ヶ月時に右卵巣に対側発症し核出術施行,10歳10ヶ月時,右卵巣に再発あり,再度核出術を施行した.12歳1ヶ月時に初潮発来,12歳5ヶ月時に左卵巣に再発,増大傾向を認めたため核出術を施行した.13歳9ヶ月より無月経となり,14歳6ヶ月に卵子枯渇を指摘された.卵巣成熟奇形腫の両側例では,腫瘍核出術を行っても,早期に閉経する可能性があり,妊孕性温存療法を検討する必要があると考えられた.

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© 2024 日本小児血液・がん学会
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