症例は2歳2か月男児で,明らかな水痘罹患歴はなく,1歳1か月時に右上腕に水痘ワクチンを1回接種していた.2歳0か月時にB前駆細胞性急性リンパ性白血病を発症し,高リスク群として寛解導入療法を実施中に免疫抑制下で右上肢・右肩に帯状疱疹を発症した.患部水疱液の遺伝子解析により水痘ワクチン株由来の帯状疱疹と診断した.アシクロビル静注により重症化することなく治癒した.ワクチン株は野生株よりも弱毒で,潜伏ウイルス量が少なく経時的に減少するとされている.しかし,化学療法や免疫抑制剤により細胞性免疫が低下した患児では,水痘ワクチン接種から比較的期間が空いていても,ワクチン株由来の帯状疱疹を発症する可能性がある.そのため,皮疹が出現して帯状疱疹を疑う場合には速やかに治療を開始することが重要である.