日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
Print ISSN : 2187-011X
ISSN-L : 2187-011X
症例報告
小児肝悪性腫瘍のICG蛍光ナビゲーション手術と蛍光顕微鏡による組織学的検討
山本 裕輝清水 隆弘森 昌玄小池 隆志中村 直哉渡辺 稔彦
著者情報
ジャーナル 認証あり

2024 年 61 巻 2 号 p. 191-195

詳細
抄録

小児肝悪性腫瘍では完全切除が予後因子とされる.今回我々は小児肝悪性腫瘍2例に対して術前にインドシアニングリーン(Indocyanine Green;以下ICG)を投与して術中の肉眼的な蛍光ナビゲーションを併用して肝切除を行い,その蛍光組織像を共焦点顕微鏡で観察した.症例1は肝未分化肉腫の7歳女児で,拡大肝右葉切除術を施行された.腫瘍にはICGは集積せず,腫瘍周囲の正常肝組織にICGが集積していた.症例2は肝芽腫の2歳女児で,肝右葉切除術を施行された.腫瘍組織に強くICGが集積し,正常肝組織にはICGの集積を認めなかった.肝未分化肉腫と肝芽腫ではICGの集積像が異なることを共焦点顕微鏡で確認した.2つの異なる小児肝悪性腫瘍でICG集積パターンに違いが見られたが,いずれにおいても術中ICG蛍光ナビゲーション手術は完全切除を行う上で,非常に有効であった.

著者関連情報
© 2024 日本小児血液・がん学会
前の記事 次の記事
feedback
Top