2024 年 61 巻 3 号 p. 252-258
小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)の臨床転帰は改善しているにもかかわらず,小児急性骨髄性白血病(AML)の長期生存率は依然として約70%に留まる.原因の一つとして小児AMLの遺伝的背景の理解,適切な治療・リスク層別化,分子標的療法が不足していることが挙げられる.そこで我々は小児AMLの大規模コホートを用いた遺伝発現解析と遺伝子変異解析を用いて,UBTF遺伝子のタンデム重複(UBTF-TD)とCBFB遺伝子のGDXY挿入(CBFB-GDXY)という二つの小児AML特異的な遺伝子変異を特定した.これらは他のドライバー変異とは相互排他的であり,UBTF-TDはFLT3-ITDおよびWT1遺伝子変異,HOXBクラスター遺伝子発現を呈し予後不良であったのに対してCBFB-GDXYはCBF-AML様発現パターンと関連しており,これらの遺伝子変異が小児AMLの新規分子サブタイプを定義することを示唆している.
これらはGLIS2::CBFA2A2やPICALM::MLLT10などの他の小児特異的ドライバー変異と同様に,現在のWHO分類(WHO5th)では定義されておらず,その結果小児AMLの30%が“acute myeloid leukemia with other defined genetic alterations”や“acute myeloid leukemia, myelodysplasia-related”に分類されている.そこで我々は889症例の小児AMLを相互排他的な23の分子カテゴリーに体系的に分類し,コホートの91.4%をカバーすることができた.また2つの独立したコホートを用いてこれらの分子カテゴリーが予後と相関することを示し,分子カテゴリーと微小残存病変に基づいた予後予測モデルを確立した.これらの研究は将来の小児AMLの分類と治療戦略の基礎となる可能性がある.