日本小児血液・がん学会雑誌
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シンポジウム9:Latest advances in Leukemia/Lymphoma genomics
急性白血病におけるゲノムの立体構造の解析による新たなサブタイプの同定: CDX2/UBTF B-ALLとBCL11B駆動型白血病
木村 俊介
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2024 年 61 巻 3 号 p. 259-265

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抄録

近年の次世代シーケンサーの発展に伴い,急性リンパ性白血病(ALL)の分子生物学的特徴が明らかとなった.特に全ゲノム解析(WGS)や全トランスクリプトーム解析(RNAseq)による網羅的ゲノム解析により,大部分のALLを,疾患の原因となるドライバー遺伝子の遺伝学的異常によって分類できるようになった.しかし,これらの遺伝学的異常の多くはnon-coding領域にあるため,これまで遺伝学的異常がもたらす結果についての包括的な解析は行われてこなかった.一方で,non-coding領域におけるゲノム異常がエピゲノムの変化をもたらすこと,すなわち,異常なエンハンサーとプロモーターのループ形成やクロマチン構造の変化をきたし,白血病化に大きな影響を与えていることが次々に報告されてきており,non-coding領域のエピゲノムにおける影響を理解することの重要性が増している.本稿では,これまでの白血病の遺伝学的異常,エピゲノム解析の手法,そしてHiChIPを用いたゲノムの立体構造という視点から以下の白血病のゲノミクスについて説明する.

CDX2/UBTF ALL:特徴的な発現プロファイルを有する稀なB-ALLの一群であり,UBTF::ATXN7L3融合遺伝子と,FLT3領域の微小欠失によるエンハンサーリターゲットの結果みられるCDX2の異常高発現を特徴とする.

BCL11B駆動型ALL:混合表現型急性白血病,T細胞性ALL,骨髄性白血病すべてに同定される分化系統を超えた幼弱な白血病で,エンハンサーハイジャックによるBCL11Bの発現異常を特徴とする.

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© 2024 日本小児血液・がん学会
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