血友病AはFVIII欠乏により重篤な出血症状を呈する先天性疾患である.周術期では止血管理が必須であるが,人工心肺使用中はヘパリン投与による抗凝固のため止血治療の評価が困難になる.今回,血友病A患児の開心術時に人工心肺使用中のヘパリンとFVIII製剤補充の効果に,全血を用いたROTEM®をヘパリナーゼ添加検体により止血モニタリングを実施し良好に管理できた.症例は中等症血友病Aの9歳男児,心房中隔欠損に対して人工心肺使用での開心術を実施し,術前にルリオクトコグアルファのボーラス投与と持続輸注を開始しFVIII活性は101.8%に上昇,ROTEM®はCT/CFT 904/456秒であった.人工心肺中はヘパリンによる抗凝固を実施したが,ヘパリナーゼ添加によりCT/CFT 606/299秒,FVIII活性は78.2%であり,FVIII補充による凝固能の改善効果は良好で,周術期の止血も良好であった.