2024 年 61 巻 5 号 p. 318-323
小児がんは年間2,000人程度の発症頻度であり,稀少がんの代表であるため,当然,集約化を目指すべき疾患である.一方,最も頻度の高い急性リンパ性白血病は治療法の向上が著しく,各施設間の治療成績の格差が少なくなり,均てん化が重要視される疾患の代表となっている.このように,小児がんは一般論として集約化が必要ではあるが,がん種によっては均てん化が重要な疾患も混在している.九州・沖縄地区では小児がん拠点病院である九州大学病院を中心に各県施設が連携している.日本小児血液・がん専門医研修施設として九州大学の関連研修施設(子施設)となるか,独立して認定研修施設(親施設)としてプログラムを形成できるかは,様々な要因が求められている.特に各施設の小児がん初発症例数実績に加えて,小児血液・がん指導医と小児がん認定外科医の存在の有無が大きな要因となっている.現状では,九州・沖縄地区において上記の条件を満たす親施設は2施設に限られている.毎月,テレビ会議で各施設において対応に悩む症例などの検討も行って情報を共有できており,良好な関係が構築されてきた.その結果,患者さんの紹介も円滑に行うことが可能となり,日常診療上での問題は感じない.ただし,九州・沖縄ブロックが高度なレベルを維持しながら均てん化を進めるためには,親施設の増加が必要であり,その実現のためには指導医と認定外科医の育成が課題である.