小児の様々な血液悪性疾患,非腫瘍性疾患の同種造血細胞移植において,残存する腫瘍細胞の根絶や生着不全のリスクを減らすために,全身照射の役割は依然として重要である.一方,TBIに関連した有害事象による長期的な生活の質への影響の観点から,非照射前処置や強度減弱前処置(RIC)の開発が試みられてきた.
小児血液悪性疾患に対しては残存腫瘍細胞の根絶を目指した高線量全身放照射(TBI)を併用した骨髄破壊的前処置(MAC)が依然として主要な移植前処置である.一方,多くの非腫瘍性疾患に対する移植前処置は,生着不全の頻度を増加させずにTBIに関連した合併症のリスクを減らすために低線量放射線照射を併用した強度減弱前処置が主流となってきている.乳幼児や一部の放射線感受性の高い疾患ではTBIに関連した合併症が問題となるため,これらの小児の特性を配慮した新規放射線照射技術の導入が期待される.