2025 年 62 巻 1 号 p. 40-45
がんゲノム医療の実装,および分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤などの新規治療薬開発の促進は,がん患者に大きな恩恵をもたらしつつある.しかし,これらの新規治療薬の多くが日本では未承認あるいは適応外であり,小児がん患者に対して使用できるような体制も充分に構築されていない現状がある.カナダでは,未承認あるいは適応外薬であってもコンパッショネートユースとして使用する方法が整備されており,臨床現場での薬剤到達性は日本と比べてはるかに高い.本稿では,トロントでの臨床経験をもとに,カナダでのドラッグアクセスについて紹介する.