日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
慢性活動性EBウイルス病の臨床的寛解中に発症した節外性NK/T細胞リンパ腫の1例
磯部 清孝杉山 正仲田尾 佳代子荒川 歩前島 亜希子金田 朋也福田 隆浩今留 謙一小川 千登世
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2025 年 62 巻 1 号 p. 74-79

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抄録

慢性活動性EBウイルス病(CAEBV)の寛解中に節外性NK/T細胞リンパ腫(ENKL)を発症した例は報告がなく,その治療法も明らかではない.今回我々はCAEBVの臨床的寛解中に,右下腿の皮下組織にENKLを発症し,SMILE療法および同種造血幹細胞移植が有効であった1例を報告する.症例は14歳男児.10歳時にCAEBVと診断され,同種造血幹細胞移植を施行された.以後,臨床的寛解を維持していた.14歳時に右下腿腫瘤,皮膚潰瘍を認め,生検の結果,ENKLと診断した.2コースのSMILE療法後にpartial metabolic responseとなった.SMILE療法を1コース追加後,同種造血幹細胞移植を施行した.移植後19か月の時点で,無病生存中である.CAEBVの臨床的寛解中に発症したENKLに対して,SMILE療法に続き同種造血幹細胞移植を施行することで長期生存が望める可能性が示唆された.

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