日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
Print ISSN : 2187-011X
ISSN-L : 2187-011X
症例報告
嚢胞性腎腫と甲状腺結節を認め胚細胞系列にDICER1の病的バリアントが同定された乳児例
寺沢 真由子秋田 直洋村瀬 成彦谷 有希子矢内 里紗小川 晃太郎北澤 宏展吉田 奈央中野 嘉子加藤 元博濱 麻人
著者情報
ジャーナル 認証あり

2025 年 62 巻 2 号 p. 171-175

詳細
抄録

DICER1の胚細胞系列の病的バリアントは胸膜肺芽腫をはじめとする様々な臓器の腫瘍の発症に関連し,これらをDICER1症候群と呼ぶ.症例は6か月女児で,腹部腫瘤と哺乳不良を主訴に当院を紹介受診した.左側腹部に硬性腫瘤を触知した.画像検査で多房性で隔壁を伴う左腎腫瘍を認めた.左腎全摘出術を実施し,病理学的検査から嚢胞性腎腫と診断した.また,診断時の画像検査では甲状腺左葉に結節を認めた.遺伝子解析により胚細胞系列におけるDICER1の病的バリアントが確認され,DICER1症候群と診断した.術後3年が経過し,新たなDICER1関連腫瘍は認めていない.DICER1症候群において,甲状腺腫瘍は多くは10歳台以降にみられることから,本症例では乳児期に嚢胞性腎腫と同時にみられたことが非典型的であると考えられた.今後は甲状腺結節の増大や新たな腫瘍の発生の有無について慎重に経過観察する必要がある.

著者関連情報
© 2025 日本小児血液・がん学会
前の記事 次の記事
feedback
Top