2025 年 62 巻 3 号 p. 222-229
先天性免疫異常症(IEI)とは,免疫系に関与している細胞や蛋白の先天的な異常によって生じる疾患の総称である.免疫系の異常によって,易感染性,自己免疫疾患,自己炎症疾患,悪性腫瘍,アレルギーなどのさまざまな表現系を呈する.毎年数多くの新規疾患が報告されており,現在までに550以上の原因遺伝子が知られている.この多彩な疾患を適切に診療するために,クリニカルシークエンスと呼ばれる臨床検査としての遺伝子検査を含んだ新たな診療システムが構築されている.異常のある免疫機構に応じた,疾患特異的薬剤による治療が行える可能性がある.また,重症複合免疫不全症やB細胞欠損症に対しては,拡大新生児スクリーニング検査が既に開始されている.これらの疾患は,従来には感染症に罹患したことを契機に診断がなされていたが,感染症に罹患することなく診断して早期に治療することで生命予後や生活の質の改善が期待される.