はじめに:小児がん患者における新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019: COVID-19)の臨床像について欧米からの報告は散見されるが,本邦の小児がん患者についての詳細な報告はない.
目的:本邦の小児がん患者のCOVID-19の臨床像を明らかにする.
対象と方法:化学療法や経過観察のために当院通院中の小児がん患者のうち,2020年1月から2022年12月にCOVID-19に罹患した9名を対象に,診療録を用いて後方視的に臨床像(臨床経過と転帰)について検討した.
結果:①治療と感染の関係においては,9例中4例が化学療法中であった.②感染経路は6例で判明し,すべて家族内感染であった.③主な症状は発熱と呼吸器症状で,全例が軽症で,重症例(ICUでの重症管理,侵襲的機械換気,死亡)は認めなかった.④2例がCOVID-19罹患に伴い治療変更を余儀なくされた.うち1例は治療の延期に伴い原疾患が増悪し,予定していた臨床試験に参加できなかった.
結語:小児がん患者においてCOVID-19の重症化リスクは高くないことが示唆された.むしろ罹患に伴う治療の延期が課題となった.したがって原疾患の進行や再発リスクを考えて慎重に治療方針について判断することが重要である.