2026 年 63 巻 1 号 p. 56-60
症例は10歳男児.ALK陽性未分化大細胞性リンパ腫(ALCL)の中枢神経(CNS)再発に対し,再寛解導入療法と全脳・全脊髄陽子線照射後に同種骨髄移植を行ったが,移植後12週で分子生物学的再々発を認めた.CNS再発は中枢への薬剤移行性の制約などが課題であり,確立した治療法はない.本例ではアレクチニブの内服を導入し,ヒドロコルチゾン・シタラビンの髄注の併用および免疫抑制剤中止により,再度NPM::ALK fusion PCRは陰性化し移植後4年間の寛解を維持している.アレクチニブは髄液移行性に優れ,CNS病変に対する分子標的薬として有効性が期待される.本症例はCNS再発ALK陽性ALCLにおいてもアレクチニブを組み込んだ治療が長期予後改善に寄与し得ることを示唆する.再発・難治例を中心に,薬物動態評価も含めたより適切な使用方法の構築のための検討が望まれる.