小児がんは小児の主要な死亡原因であり,本邦では毎年2,000名以上が新規に発症する50種類以上の疾患から構成される希少疾患群である.わが国では急速な少子化に伴って患者数が年々減少している.成人がんとは腫瘍生物学的特徴が大きく異なることから,必ずしも成人がんの薬剤が小児がんの適応にならない.これらの特性は製薬企業の投資判断に不利に働き,小児がん薬の国内開発の停滞を招いている.本稿では,国内外における小児がん薬開発の現状,企業が直面する構造的課題,米国を中心としたインセンティブ制度,新興バイオ医薬品会社(EBP)の参入動向を整理し,日本で開発を促進するために必要な「予見性」の確保の重要性を論じる.さらに,製造販売後調査,レジストリー活用,医師主導治験体制,国主導の治験エコシステム構築等の政策課題を取り上げ,今後整備すべき方向性について提言する.