四国公衆衛生学会雑誌
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公衆衛生活動報告
愛媛県中予保健所が長期継続している思春期保健活動の変遷と歴史
~歴史的経緯を記述する~
麓 由香里白石 由起廣瀬 浩美中越 利佳田中 美延里野村 美千江
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2024 年 69 巻 1 号 p. 105-112

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抄録

[目的]愛媛県中予保健所(以下、中予保健所と略す)が、23年間の長期にわたり継続している独自の母子・思春期保健活動に着目し、歴史的経緯を探索的に記述することを目指す。

[方法] 中予保健所が2000年度以降、2023年度現在も取り組んでいる母子・思春期保健活動は、県内の他の保健所では事業として継続的に実施されておらず、中予保健所独自の事業である。この活動がどのように始まり、なぜ続いているのかを探索するため、事業実施計画書・報告書、実態調査結果や性教育教材作成をまとめた冊子、学会発表や研究集会で公表された文書など22の既存資料を基に、活動内容を時系列に分析した。

[結果]中予保健所が23年間継続している思春期保健活動には6つの柱が抽出された。【実態調査】を起点とし、定期的な調査分析を踏まえた【思春期教育】【教材作成】、関係者の【検討会・ワーキング】【人材育成】、活動の【社会への公表】へと波及し、関係機関や大学と協働し、組織的に継続されていた。

[考察]法的に定められた事業が多い市町村と異なり、保健所は自由度が高く必要な活動をデザインできる。中予保健所の思春期保健活動は、保健所の裁量権を活かし、道筋を立てて脈々と引き継がれている実践である。

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