四国公衆衛生学会雑誌
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保健行政におけるCOVID-19への外国人対応の課題に関する文献レビュー
有馬 志津子
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2024 年 69 巻 1 号 p. 113-120

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抄録

【目的】COVID-19パンデミックに襲われ、地域でともに生きる外国人の保健医療の脆弱さや社会的弱者の問題が可視化された。そこで本研究では、保健行政におけるCOVID-19への外国人対応の課題に関する文献レビューを行い、今後の新興感染症に備えた保健行政における外国人対応のあり方について検討することを目的とした。

【方法】医学中央雑誌およびCiNii Articlesを用いて主題およびキーワード検索を行った。医学中央雑誌から66編が検出され選択基準に合致した論文は15編であった。CiNii Articlesから9編が検出され選択基準に合致した論文は5編であった。選択基準に合致した合計20編のうち、重複論文などを除き13編を検討論文とした。検討論文から調査の概要、保健行政が関わる外国人の状況について整理し、外国人対応の課題については記載内容をコードとして抽出し、類似するコードをグループ化してカテゴリにまとめた。

【結果】外国人の状況として、ネットの情報よりも身近な人からの情報を信頼していること、感染症による休業への強い懸念があること、日本語能力やヘルスリテラシーは個々で大きく異なること、情報を得ることができなかったなどが把握された。また、保健行政におけるCOVID-19への外国人対応への課題として、【コミュニケーション不足の解消】【文化・宗教・在留資格を考慮したケアの提供】【平時からの地域ネットワーク構築】【ニーズに沿ったワクチン接種や積極的疫学調査等の支援】【医療安全を確保し経済面に考慮した医療提供体制の構築】【帰国に向けた支援】の6つのカテゴリが抽出された。

【考察】今後は、医療通訳の利用などコミュニケーション不足を解消し文化・宗教・在留資格を考慮して平時からの地域ネットワーク構築が必要であることが考察された。日本に暮らす外国人、特に技能実習生や外国人労働者の声を聞き、共生、共創の視点から迫りくる新興感染症のリスクに備えて行くことが課題である。

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