2024 年 69 巻 1 号 p. 121-128
【目的】本研究の目的は、非都市部在住高齢者における熱中症予防行動(以下予防行動)の実施状況および個人特性(年齢、性など)と予防行動の関連について明らかにすることである。
【方法】高知市在住高齢者を対象に、質問紙にて個人特性および予防行動(10 項目)の実施状況を尋ねた。予防行動について実施していると実施せずの 2 つに分け、 χ2 検定または Fisher の直接確率法を用いて、個人特性と予防行動の関連について検討した。
【結果】122 人(有効回答率 89.7%)の高齢者から回答を得た。予防行動の「暑い時、保冷剤・冷たいタオルなどで身体を冷やすようにしている」は、 61.4%の対象者が実施とやや少なかったが、それ以外は約 80%以上の対象者が実施していた。予防行動の実施と性別、年齢、通院中の病気、熱中症に関する情報収集に関連があった。 85 歳未満の高齢者は、「扇風機や冷房(クーラー)を使って部屋の温度を上手に調節している」、「暑い時、保冷剤・冷たいタオルなどで身体を冷やすようにしている」、「体調に関しての緊急時・困った時の連絡先を確認している」割合が有意に高かった。熱中症に関する情報を得る者は、「扇風機や冷房(クーラー)を使って部屋の温度を上手に調節している」、「暑い時、保冷剤・冷たいタオルなどで身体を冷やすようにしている」、「喉の渇きを感じなくとも、こまめに水分・塩分を補給している」、「体調に関しての緊急時・困った時の連絡先を確認している」割合が有意に高かった。
【考察】高知市在住の高齢者の多くが熱中症予防に努めていた。 85 歳以上の高齢者にとって、室温の確認や調整、体の冷却、体調の変化に備える行動を自力で行うことは難しく、 85 歳以上の高齢者に対し、高齢者の能力に合わせた支援方法を検討する必要がある。本研究では、熱中症に関する情報を得る行動に影響する個人特性は調査されていない。今後、熱中症に関する情報を得る高齢者の特徴について調査する必要がある。