四国公衆衛生学会雑誌
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総説
余暇の運動と軽度認知障害及び認知症との関連に関する系統的レビュー
青井 悦子田中 景子西 甲介三宅 吉博
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2025 年 70 巻 1 号 p. e1-

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抄録

【目的】身体活動は、安静にしている状態より多くのエネルギーを消費するすべての活動をいい、生活活動と運動に分類される。本研究では余暇の運動と認知症及び軽度認知障害との関連を調べた疫学研究成果を網羅的に収集した。

【方法】文献データベース(PubMed)を使用した。検索用語として、(“physical activity” OR exercise OR sports) AND (“mild cognitive impairment” OR dementia OR Alzheimer) AND (“cross sectional” OR cross-sectional OR “case control” OR case-control OR cohort) AND (leisure-time OR “leisure time”)を用いた。タイトル、要約、本文をレビューし、曝露が余暇の運動であり、認知症、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症または軽度認知障害をアウトカムとし、オッズ比またはハザード比が示されている観察的疫学研究である英語原著論文を選択し、エビデンステーブルに集約した。

【結果】最終的に 16 編の論文を同定した。余暇の運動と認知症との関連を調べた研究 9 編のうち 7 編、アルツハイマー型認知症との関連を調べた研究 5 編のうち 3 編、脳血管性認知症との関連を調べた 2 編のうち 1 編で予防的な関連を認めた。余暇の運動と軽度認知障害との関連を調べた研究 4 編では関連を認めなかった。いずれのアウトカムにおいても正の関連を認めた研究はなかった。

【結論】余暇の運動は認知症(アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症)のリスク低下と関連することが複数の論文で認められた。しかしながら、エビデンスは十分ではない。日本を含むアジア圏内を含めた全世界で、さらなるエビデンスの蓄積が必須である。

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