2025 年 70 巻 1 号 p. e2-
【背景】カフェインの過剰摂取は心臓の期外収縮の増加に関連することが知られているが、心房細動発症におけるカフェイン摂取との関連性は十分な検討がなされていない。
【目的】システマティックレビューの手法を用いて、カフェイン及びカフェイン含有食品・飲料の種類や摂取量と心房細動発症の関連を検討すること。
【方法】複数の文献データベース(PubMed, Scopus, Web of Science)を用いてカフェイン摂取と心房細動に関する観察的疫学研究を網羅的に検索した。論文の選択には次の基準を設けた①原著論文であること、②疫学研究であること、③英語論文であること。全ての論文をタイトルと抄録からスクリーニングし、その後、適正論文を選択し質的統合に組み入れた。
【結果】 16 論文を選定した。その内訳はカフェイン摂取と心房細動の関連を調べた論文が 4 編、コーヒーと心房細動の関連を調べた研究が 9 編、チョコレートと心房細動の関連を調べた研究が 3 編であった。全て欧米で実施されたコホート研究であった。カフェイン摂取と心房細動の関連を調べた 4 編のうち、 3 編で関連性なし、 1 編で負の関連を認めた。コーヒーと心房細動の関連を調べた 9 編のうち、 2 編で関連性なし、 6 編で負の関連、 1 編で正の関連を認めるという結果であった。チョコレートと心房細動の関連を調べた 3 編のうち、 2 編で関連性なし、 1 編で負の関連を認めるという結果であった。
【結論】コーヒーに代表されるカフェイン含有食品・飲料の摂取は心房細動発症に予防的かもしれないが、さらなるエビデンスの蓄積が不可欠である。特に、本邦ではカフェイン摂取源が欧米と異なり、本邦からのエビデンスは必須である。