2025 年 70 巻 1 号 p. e3-
【目的】3歳児のカリエスフリーを実現するためには、1歳6か月児歯科健康診査時にリスクに応じた効果的な歯科保健指導を行う必要がある。本研究は、アンケート調査と歯科健康診査の結果を統計学的に分析することで、1歳6か月から3歳のう蝕発症に影響を及ぼす危険因子の影響度を明らかにすることを目的とした。
【方法】本研究の対象者は、1歳6か月児歯科健康診査および3歳児歯科健康診査を受けた 560 名の小児とその母親である。
【結果】χ2検定の結果、1歳6か月から3歳までの期間におけるう蝕発症に有意に関連する項目として、「妊婦歯科健診:非受診」、「子どもの間食頻度:1日3回以上」、「子どもの口腔清掃状態:少ない・多い」、「母親の喫煙習慣:あり」、「母親の歯周病の知識:なし」の5項目が明らかになった。構造方程式モデリングによる解析の結果、これら5項目のうち「母親の喫煙習慣:あり」以外の4項目が3歳のう蝕発症と関連することがわかった。また、4項目のうち「子どもの間食頻度:1日3回以上」は他に比べてやや強い影響を与えることが確認できた。
【結論】これらの結果から、1歳6か月児歯科健診査時に、その後のう蝕発症への影響度を考慮した保健指導を行うことが効果的である可能性が示唆された。