2025 年 70 巻 1 号 p. e5-
【目的】高血圧は循環器疾患、脳血管疾患等様々な疾患のリスク要因であるが、本邦では高血圧未治療者が多い。本横断研究では、健診機関が有する健診データを用いて、高血圧未治療と関連する要因を調べた。
【方法】2023 年度、公益財団法人愛媛県総合保健協会を利用した 40 歳以上 50,619 名を対象とした。対象者全体で高血圧の有症率を評価した。次いで、高血圧の無い者は解析から除外し、高血圧の有る者において、高血圧未治療と関連する要因を調べた。性別、年齢、習慣的な喫煙、習慣的な運動、糖尿病、脂質異常症、脳血管疾患既往、心血管疾患既往、慢性腎炎既往、 Body mass index (BMI)、受診区分を相互に補正し、多重ロジスティック回帰分析を用いて高血圧未治療に対する補正オッズ比を算出した。
【結果】50,619 名の内、高血圧の有症率は 38.6%(19,548 名)であった。高血圧者 19,548 名の内、高血圧未治療の割合は 41.0%(8,009 名)であった。高血圧未治療と有意な負の関連を認めたのは、男性、 50 歳以上の年齢、糖尿病、脂質異常症、脳血管疾患既往、心血管疾患既往、慢性腎炎既往、 25 kg/ m2以上の BMI であった。一方、高血圧未治療と有意な正の関連を認めたのは、習慣的な喫煙、習慣的な運動、 23 kg/m2未満の BMI であった。
【結論】BMI23 kg/m2未満と高血圧未治療との正の関連には注目すべきであり、本邦の特定健診では BMI25 kg/m2未満は盲点となっていることから、健診対策のパラダイムシフトが必要であるのかもしれない。