2025 年 70 巻 1 号 p. e6-
現在、 1 歳 6 か月児のほどんどはう蝕ゼロの状態であり、近年では 3 歳でのう蝕ゼロを達成することが母子歯科保健の重要課題となっている。そのため、 1 歳 6 か月児歯科健康診査でう蝕リスクを把握し適切な保健指導を行うことが求められている。本研究では徳島県内 24 市町村において 1 歳 6 か月児歯科健康診査を担当している歯科医師、歯科衛生士を対象にう蝕リスクの判定と保健指導の現状について調査し、今後より効果的なリスク判定と保健指導を行う上での基礎資料を得ることを目的とした。調査の結果、およそ 1/3 の市町村が徳島県母子保健マニュアルに記載されている判定基準を用いているが、多くの市町村で異なる基準を設定していることがわかった。さらに、判定基準の見直しに対して、 8 割以上の市町村が「県内で判定基準を標準化すべき」という考えに同意した。保健指導に関しては、う蝕リスクが高い O2型と判定された児の保護者には内容や時間を加味して保健指導を実施している市町村が多かった。今後、 1 歳 6 か月児歯科健康診査におけるう蝕リスクの判定基準の見直しを行う際には県内の他の市町村の現状を踏まえると同時に、県内で判定基準を標準化することについても検討する必要があるのではないかと考えた。