2026 年 71 巻 1 号 p. e4-
【目的】愛媛県内の自治体非正規保健師を対象に調査を行い、その働き方の実態と課題を明らかにする。
【方法】愛媛県内の市町に雇用されている非正規保健師を対象に無記名自記式質問紙調査を実施し、全項目について記述統計量を算出した。
【結果】質問紙は122名に配布し91名から回収された。同意不備3名を除く88名を分析対象とした。年齢は60歳以上が43%であり、正規保健師経験を有する者は72%であった。就業形態はフルタイム以外が81%で、看護職以外の職種との兼業者もみられた。直接対人支援を中心に多様な業務を担っており、マネジメント業務に従事する者もいた。長期にわたり非正規として勤務する者もおり、業務内研修参加は35%であった。非正規として働く理由は資格活用や家庭との両立が多かったが、正規保健師等からの依頼を受けて就労する者も存在した。34%の者が仕事以外の活動として地域活動や奉仕活動を行っていた。
【考察】保健師の人員確保の課題を抱える愛媛県市町にとって、非正規保健師は保健事業を支える貴重な人材となっていた。中でも熟練した「プラチナナース」の存在が大きいことが明らかになった。一方で、経験が待遇に反映されにくいという課題が示唆された。業務内研修参加は半数以下で、正規と同様の研修機会の提供が求められる。非正規を選択する背景には家庭との両立があり、自治体の需要と一致して相互に有益な関係となっている。兼業や地域活動から「プロボノワーカー」としての役割を果たす者もおり、非正規保健師の多様な生活背景が強みとなる可能性がある一方、人材マネジメントの課題を内包しており、個々の専門性を活かせる柔軟な体制づくりの必要性が示唆された。