Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
症例報告
頚椎疾患として紹介入院となり診断に難渋した頭蓋頚椎移行部硬膜動静脈瘻の1例
落合 史会田 育男竹内 陽介荒木 孝太池田 剛上村 和也椎貝 真成
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2021 年 12 巻 1.2 号 p. 32-37

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抄録

はじめに:硬膜動静脈瘻における頭蓋頚椎移行部での発生は稀であり,また,頭蓋頚椎移行部硬膜動静脈瘻の脊髄症状は稀といわれている.

症例:81歳男性.日内変動のある下肢筋力低下が緩徐に進行し,神経内科を受診したが神経伝導速度で異常は指摘されなかった.その後,頚部の前後屈で四肢脱力を認め,近医に救急搬送された.頚椎後縦靭帯骨化症と診断され,安静目的に入院した.退院して数日後,脊髄症状が再度出現し,さらに呼吸困難感が出現したため当院に紹介入院した.来院時の身体所見は下肢の深部腱反射が両側亢進,病的反射は両側陽性であった.徒手筋力テストは上肢が3/3,下肢が1/1であった.MRI非対応の植込み型除細動器が挿入されていたためMRI撮影できず,脊髄造影を行った.頚椎後縦靭帯骨化症は認められたが脊髄圧迫は軽度であった.造影CTで頭蓋頚椎移行部硬膜動静脈瘻を認め,脳神経外科でシャント遮断術を行った.術後,上下肢筋力,下肢の感覚障害は改善傾向であった.

結語:脊髄症状・呼吸困難を呈し診断に造影CTが有用であった頭蓋頚椎移行部硬膜動静脈瘻の1例を経験した.

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© 2021 Journal of Spine Research編集委員会
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