2021 年 12 巻 10 号 p. 1251-1256
はじめに:成人脊柱変形(以下ASD)に対しての矯正固定術は,合併症の発生率は多い.その中でも,インプラント関連合併症としてのRod折損の頻度が最も高い.Rod折損は術後5年以内に発症することが多く,遅発性(5年以降)に発症することは少ないとされる.当科で2例の遅発性Rod折損を経験したため報告する.
症例:症例1:64歳女性,麻痺性側弯症.術後13年目に固定範囲内で骨癒合していたL2レベルでRod折損と椎体骨折を認めた.腰背部痛が持続し,Rodの入れ替えと前方固定の追加を行った.症例2:39歳男性,先天性側弯症.術後6年で椎体間固定を行っていないL3/4でRod折損を認めた.疼痛が持続するため,Rodの入れ替えと前方固定の追加を行った.
結語:2症例とも,初回手術から5年以上経過してRod折損が生じた.症例1は,長期固定椎体の粗鬆化によるアンカーが脆弱なL2椎体レベルで,骨折とRod折損がほぼ同時期に生じた.症例2では,椎体間固定をしなかった椎体でRod折損をきたした.力学的に脆弱な部位が残る症例では,骨癒合後にも遅発性にRod折損をきたす可能性があり,長期にわたる経過観察が必要である.