Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
神経線維腫症I型に伴うdystrophic type側弯症における胸郭変形の検討―その特徴と呼吸機能―
田内 亮吏川上 紀明小原 徹哉齊藤 敏樹山内 一平岩沢 太司
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2021 年 12 巻 11 号 p. 1338-1342

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抄録

神経線維腫症I型(NF1)のdystrophicタイプ側弯症の手術成績については,様々な報告があるが,本疾患における胸郭変形についての報告は未だない.本研究の目的は,NF1に伴うdystrophicタイプ側弯症における胸郭変形の特徴と呼吸機能を検討することである.NF1に伴うdystrophicタイプ側弯症に対して矯正手術を施行した患者38名を対象とした.男性22名,女性16名で,初回手術時平均年齢は12.6歳,平均経過観察期間は13.1年であった.主カーブCobb角は術前69.6度,最終観察時27.5度であった.最終観察時,胸郭変形は11例(29%)に認められた.胸郭変形部位は側弯主カーブ凸側10例,凹側1例であった.手術時の平均年齢は胸郭変形あり群となし群で有意差があった(8.9歳 vs 14.1歳,p=0.004).脊椎長(T1~T12)は胸郭変形あり群が胸郭変形なし群に比べて有意に小さかった(21.3 cm vs 23.6 cm,p=0.01).Rib pencilingの数は胸郭変形あり群が胸郭変形なし群に比べて有意に多かった(6.1本vs 1.9本,p<0.001).呼吸機能(FVC)は胸郭変形有り群で有意に低かった(1,880 ml vs 2,705 ml,p<0.001).FEV1.0%は,両群に有意差はなかった.NF1 dystrophicタイプ側弯症では,胸郭変形を伴う症例において,脊柱変形だけでなく,胸郭原性の呼吸機能低下にも注意を払う必要がある.

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© 2021 Journal of Spine Research編集委員会
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