2021 年 12 巻 5 号 p. 773-779
はじめに:椎間板内ガス像(IVP)は散見される所見であり,腰痛や腰椎機能に関与するとの報告もある.今回,IVPと臨床所見との関連を検討した.
対象と方法:当院で施行した腰部脊柱管狭窄症(変性辷り症を含む)219例における術前X-pおよびCTにおいて認めたIVPと腰痛,下肢痛およびしびれのVASおよびJOABPEQを用いて臨床所見との関連について検討を行った.
結果:X-p評価では33.3%の症例,8.3%の椎間板に,CT評価では71.2%の症例,30.0%のIVPを認めた.X-p,CTの評価においてIVPを有する症例の平均年齢は有意に高く,平均腰痛VASは高い傾向を示した.年齢群別における比較において,X-p評価では80歳以上群のIVPを有する症例のJOABPEQ腰椎機能はIVP無しのそれに比較し有意に低く,またCT評価では80歳以上群のIVPを有する症例のJOABPEQ疼痛関連はIVP無しのそれに比較し有意に低かった.腰痛VASにおいては80歳以上群,70~79歳群および32~59歳群でIVPを有する症例はIVPの無しの症例に比較し有意に高度であった.
結語:椎間板内ガス像は年齢とともに増加し,椎間板内ガス像を有している症例はより高度な腰痛を有し,腰椎機能障害も高度であると考えられた.