2021 年 12 巻 5 号 p. 759-765
はじめに:本研究の目的は脊柱インバランスが進行する高齢者の特徴を示すことである.
対象と方法:Shiraniwa Study初年度,3年次のいずれにも参加した321名(男性133名,女性188名,平均72.9±4.9歳)を対象とした.全脊柱X線写真より計測したC7SVAより,≦40 mm,40 mm~95 mm,>95 mmの3段階に分け,2年の経過で1段階以上増悪したものを進行群とし,その特徴を評価した.
結果:14.0%(45名)が進行群に該当した.ロコモ度2該当者は進行群で有意に多く(55.6%/28.0%,p<0.01),調整オッズ比2.35(95%信頼区間:1.08~5.12)と脊柱インバランス進行の独立した予測因子であった一方で,既存椎体骨折,椎間板変性,背筋力,サルコペニア有病率に有意差は認めなかった.また,体幹部重量に占める筋量が進行群で有意に低かった(男:74.1%/78.2%,p=0.02,女:63.7%/70.9%,p<0.01).
結語:ロコモ度2は脊柱インバランス進行の予測因子であり,進行群で体幹部重量に占める筋量が有意に低かった.