2021 年 12 巻 5 号 p. 751-758
はじめに:腰椎疾患に対し術前に施行した脊髄造影/脊髄造影後CT(CTM)とMRI所見を評価し,病態把握や術式選択における脊髄造影/CTMの有用性を検討した.
対象と方法:当院で脊髄造影を施行した腰椎疾患106例を対象とし,A群:MRIで把握できなかった所見を認め,手術に至った症例・術式の再検討を要した症例群,B群:MRIで把握できなかった所見を認めたが,術式変更を要さなかった症例群,C群:MRIに対し新たな所見を認めなかった症例群に分類し検討した.
結果:A群:7例(動的狭窄を認め除圧高位を追加した症例:3例,不安定性を認め除圧固定術に変更した症例:3例,CTMで上関節突起症候群と診断がつき手術に至った症例:1例),B群:5例(黄色靭帯の骨化巣を認めた症例:3例,X線とMRIで確認できなかった腰椎分離症を認めた症例:1例,神経根奇形の合併を確認できた症例:1例),C群:94例であった.合併症は頭痛を4例,皮膚症状を1例認めたが重篤な合併症は認めなかった.
結語:脊髄造影/CTMは動的因子や骨性成分による神経圧迫の把握に優れ,腰椎疾患の術式立案に際し有用な検査であると考えられた.