Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
骨粗鬆症を合併した腰椎固定術後偽関節に対する腓骨を用いた終板補強と同種骨を用いた経椎弓根的impaction bone graftによる新たな再建方法
鈴木 喜貴飛田 哲朗鵜飼 淳一安藤 智洋佐藤 公治
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キーワード: 骨粗鬆症, 偽関節, 再建術
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2021 年 12 巻 7 号 p. 938-946

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抄録

骨粗鬆症症例における脊椎固定術後偽関節の治療は難渋する場合が多い.今回我々は,偽関節に伴う終板破壊や椎弓根スクリューの緩みを伴った症例に対して,腓骨による終板補強と同種骨による経椎弓根的impaction bone graftを行い良好な結果が得られたので報告する.症例1.61歳.男性.透析歴35年.T5-L5固定術後のL4/5偽関節.緩みを認めた椎弓根スクリューを抜去し,経椎弓根的impaction bone graftを行った後,椎弓根スクリューを再挿入した.固定範囲は腸骨まで延長した.左前方から椎体間ケージを抜去した後,新たにLLIFケージを設置し,終板欠損部とケージの間隙に腓骨を挿入した.症例2.83歳.男性.骨粗鬆症性第4腰椎圧迫骨折に対しL3-5PLF,L4椎体置換術後偽関節.症例1と同様の手技で椎弓根スクリューを再挿入し,椎体間インプラントを抜去後に頭尾側終板を腓骨で補強し新たに伸延型ケージを設置した.症例3.70歳.女性.L2-5でのLLIF+PLF術後偽関節.症例1,2と同様の手技で椎弓根スクリューを再挿入した.固定範囲は仙骨まで延長し,L4/5椎間板腔に骨移植を行い,L5/SにはPLIFを行った.いずれの症例においてもインプラントの緩みなく,術後6ヶ月において良好な骨癒合が確認できた.経椎弓根的同種骨移植によりスクリューの支持性が格段と向上し,腓骨による終板補強はケージの沈み込みを抑えることができた.本法は偽関節手術のみならず骨粗鬆症症例における脊椎固定術において有用な方法となる可能性がある.

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© 2021 Journal of Spine Research編集委員会
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