Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
頚椎変性疾患に対する前方除圧術後に生じる嚥下障害のリスク因子
相庭 温臣門田 領望月 眞人糸井 陽
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2022 年 13 巻 2 号 p. 102-109

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抄録

はじめに:嚥下障害は頚椎前方除圧固定術後の注意すべき合併症であるが,発症因子を分析した報告は少ない.発症回避や対応に役立てることを目的とし,頚椎前方術後の嚥下障害リスク因子の検討を行った.

対象と方法:頚椎変性疾患に対し前方除圧固定術を施行した802例を対象とした.術後3日目以降に嚥下困難により2日以上の補助栄養を要した症例を嚥下障害ありと定義し,有ったD群と無かったN群間で性別・年齢・疾患・手術椎間数・C2を含むか・手術時間・術中出血・髄液漏の各リスク因子につき比較を行った.

結果:嚥下障害発生は802例中21例にみられた.術後に補助栄養を施行した期間は平均22.5日間であった.D群がN群に対して有意に年齢・OPLL割合・椎間数・C2を含む率・手術時間・術中出血量・髄液漏率が高かった(p<0.05).多変量解析においては,高年齢・C2を含むことが独立して関与する因子として挙げられた.

結語:頚椎前方除圧固定術後の嚥下障害の危険因子として,高齢・OPLL・多椎間・C2を含む・長い手術時間・術中出血が多い・髄液漏が挙げられ,高年齢とC2を含むことは,特に重要な因子である.

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© 2022 Journal of Spine Research編集委員会
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